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2022/06/11 23:01

1000年前、ヴァイキングたちの信仰は、日本と同じように多神教でした。今日の日本でなじみのあるヴァイキングの神は、ゲームや漫画にもたびたび登場するオーディンかもしれません。オーディンは主神として多くのエピソードがある神ですが、その他にもヴァイキングはいろいろな神々を信じていました。

 

中でも人々から広く慕われていたのが、 トール Thor という神です。日本のヴァイキング漫画でありアニメにもなった ”ヴィンランド・サガ” のワンシーンでは、「キリストよりトール神の方が強い」と言っているヴァイキングもいました。映画マイティソーやアベンジャーズでは、英語読みでソーと呼ばれています。

 

ハンマーを武器にして戦う北欧神話で最強の神。

トール神とは、ヴァイキングたちにとってどんな存在だったのでしょうか。

 

 

 

【 短気だが情に厚い。様々な脅威から人間を守る最強の神 】

赤い髪と髭をたくわえた姿。北欧神話では、トールは神々の中で最も強く、巨人族から人間を守ってくれる神とされています。巨人族は、霜の巨人、山の巨人、炎の巨人といるように、当時は自然の脅威として考えられていたのかもしれません。それらの脅威を恐れさせ退けるのがトール神と、彼の持つ ”ミョルニル” と呼ばれる鉄のハンマーです。

 

横柄な者や、約束を守らない者や、いびきの大きな者がいれば、相手が巨人でも神でも人間でも問答無用。ハンマーを拳の骨が白く浮き出るくらい強く握って怒る短気な性格。

 

反面、頑張って怒りを抑えてみたり、相手がおびえていたらすぐに許したり、巨人を叩いても倒せなかったら叩いてないよとごまかしたり、女装して皆から笑いものにされることを気にしたり、と愛嬌のある所もみられます。およそ神様らしくない、自分に素直な愛すべき男ではないでしょうか。

 

 

【 トールの武具。鉄槌ミョルニル、力帯メギンギョルド、鉄の手袋 】

すべての巨人たちは鉄槌ミョルニルが風を切り、自分たち目掛けて飛んでくる音を恐れている。

 

北欧神話でそう言われてるように、トールのハンマー ”ミョルニル” は投げる武器でした。ミョルニルは手先の器用な小人族が作った武器ですが、作る時に邪魔が入ったことで柄が短く仕上がってしまいます。ミョルニルは投げることに特化した武器として、投げれば必ず相手に命中して自分の手元に帰ってくるとんでもない特殊能力があります。

 

さらに、トールの鉄の手袋はミョルニルを握り損じることなくしっかり掴み、力帯メギンギョルドはただでさえ豪勇なトールの力を2倍にするというから、巨人族にとってはたまらない存在なのだろうと思います。

 

 

 

【 多くのヴァイキングたちから慕われた証。いろいろな形のミョルニルのお守り 】

人間の一番の友と例えられるトール神。多くの人名や地名に ”トール Thor” の名が含まれることからも、いかに身近な存在として慕われていたかが分かります。

 

トルフィン Thorfinn、トールアルド Thorald、トルケル Thorkell、トールウルヴ Thorulv、トールド Thordなどは、トールの名が含まれた人名だと考えられるでしょう。

 

ヴァイキングの代名詞ともいえる装飾品は、ミョルニルを模したお守りです。首領から農民まで立場を問わずに多くのヴァイキングたちがミョルニルを身に付け、健康、豊穣、安産、旅の無事、などが願われたと考えられています。金属製の物や琥珀でできた物など、素材も形もいろいろなミョルニルが北欧をはじめとするヴァイキングゆかりの土地で出土しています。

 

画像は日本ヴァイキング協会で原型から再現した当時のミョルニルのお守りです。これらは出土したミョルニル全体でみれば極々一部ですが、シンプルな物、ハンマーその物に見える形、凝った意匠的な物など、様々なデザインがあることが分かると思います。

 


アイスランド出土の狼の頭が特徴的なミョルニルで、十字架のようにも見えます。キリスト教が入ってきても古い信仰を捨てられなかったヴァイキングたちが、表向きは十字架、心の中ではトールハンマーとして、身に付けていたのかもしれません。


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デンマーク出土のシンプルなミョルニル。ガラスビーズもまたヴァイキングたちから好まれた装飾品でした。



アイスランド出土のトールの偶像。椅子にチョコンと座ったトールの髭がそのままミョルニルになっている愛らしいデザイン。

 


これだけ広くヴァイキングの間に普及していたのは、トール神とミョルニルに巨人と戦うだけではない他の側面があったからだと思います。ではどのような側面があったのでしょうか。

【 天候を司る豊穣神トール 】

トールはよく旅をする神ですが、そんな時彼は2匹の山羊タングニョストとタングリスニルが引く車に乗って空を駆けました。空に響く雷は、トールの車の車輪が転がる音なのだと神話では伝えられています。また別の話では、トールが近づいてくる際に稲光と雷鳴を伴っていたとされています。

 

雷神と称されるトールは魔法のように雷を放出することはありませんが、天候を司る神として考えられています。農民中心のヴァイキング社会ですから、多くのヴァイキングから重要視され豊穣を祈願されていたことでしょう。

 

 

【 ミョルニルの戦い以外の使い方 】

- 山羊を生き返らせる -

トールの2匹の山羊はなかなか便利で、お腹が減ったら食べても大丈夫な山羊です。皮と骨さえ丁寧に扱って残しておけば、ミョルニルで祝福して元通り生き返らせることができます。

 

- 花嫁を祝福する -

北欧神話にある、巨人にミョルニルを盗まれてしまったトールが、花嫁に変装して巨人の元へ潜入して取り戻すというエピソード。その結婚の宴では、花嫁を祝福するためにミョルニルが花嫁の膝の上にのせられます。このことからヴァイキングにも同じ習慣があったのではないかと考えられています。

 

- 火葬薪を浄める -

バルドルという神の葬儀の場面では、トールがミョルニルを振って火葬薪を浄めたとされています。ヴァイキングにも同じ習慣があったのかもしれません。神話から当時の文化や考え方が分かるのは、とても興味深いことですね。


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