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2022/09/03 08:55
▼日本ヴァイキング協会の製品
https://market.japanvikings.com/categories/2612200
素材の魅力を楽しみながら、ずっと使える革製品を
私たちはそれぞれの革の持ち味を引き出し、丈夫で長く使える物づくりを心がけています。
デザインから製造まで一貫して2人で行い、ひとつひとつの作業を丁寧に。細部まで手をかけて作れば、革製品は10年20年と驚くほど長持ちします。革の経年変化を楽しみながら、愛着を育み、壊れても修理して大切に使う。昔の人たちがあたり前に行なってきたことの中に、私たちにとっての豊かな暮らしのヒントがあると感じます。
革は人の歴史とずっと共にありました。食べるためにいただいた動物の副産物として使われてきた素材です。そして私たちが肉を食べること、牛、豚、山羊、羊などの革がその副産物であるということは、昔も今も変わりません。
色と艶の変化が愛着になる。植物タンニンなめし革のエイジング
長くご愛用いただくために。私たちの手しごと
日本ヴァイキング協会では、製品に合わせて手縫いとミシン縫いを使い分けて仕立てています。
「手縫いって力がいりそうで大変そうですね」というご質問をよく伺います。実は穴をあけてから縫うのでそれほど力はいらないのですが、すべて手作業で行うのでとても時間がかかります。それでも惹かれるのは、ほつれにくくずっと使える丈夫さと、昔と変わらない手しごとならではの味わいがあるからです。
手縫いは縫い穴の中で糸が交差するので、切れてもほつれない縫い目になるのが特徴です。また、縫い目が盛り上がって擦り切れないように、溝をつけてからロウ引きした糸で縫っています。
ミシン縫いでは、30年以上前の古い足踏み式ミシンや職業用ミシンを使っています。
重なった厚い革にしっかりと針を通し、足踏みのリズムに手の動きを合わせてきれいな直線に縫い進める。カーブはひと針ずつ慎重に落とし、端の返し縫いは同じ穴に収まるように。すべての作業を丁寧に行うことで、繊細で整った縫い目に仕上げています。
手縫いもミシン縫いも、一つ一つの手間が積み重なって、長く使える革製品になっていきます。
【革の力で型崩れしにくい切り口にするコバ磨き】
革の切り口をコバといいますが、実はこのコバは切ったままでも製品になります。革の繊維は布と違ってほつれないので、そのままでも機能するのです。そのため「コバをどのようにどのくらいまで仕上げるか」というのは作り手次第。コバを折込んで見えなくする、塗料でコーティングする、切ったままにする、など色々な仕上げ方の中で、私たちが行うのは植物タンニンなめし革でしかできないコバ磨きです。
コバ磨きはタンニンなめし革のクセのつきやすい特性を使った自然な方法。革の繊維を引き締めて固めるので、型崩れしにくい丈夫なコバに仕上がります。丹念に磨かれたコバが出す美しい光沢感は、表面や裏面とは違った革のもう一つの表情。革を湿らせて、重なりが一体になるまで繰り返し布で擦って引き出します。
【裏面はふっくらと心地よいスエード状に仕上げています】
私たちの革製品の裏面(床面)は、スエード革のようなやわらかな触り心地をしています。これは本来ザラザラしている革の裏面をヤスリで擦り、繊維を細かく毛羽立たせているためです。裏面をあえて毛羽立たせることで、革にふっくらとした心地よい質感を加えています。
【しっとり感とより深みのある経年変化を加えるオイル加工】
革はそのまま使わずに、独自配合のオイルを加えてしっとりとした質感と深みのある色合いに味出ししています。オイルは革の潤滑剤のような役割。適度にオイルを含ませることで革はやわらかさを保ち、汚れもつきにくくなります。さらに使っていくと、より深みのあるエイジングを促してくれるのです。
*ご購入直後は十分にオイルが含まれていますので、過度なオイル塗布はお控えください。メンテナンスは半年に1回程度が目安です。
▼関連記事「革製品のメンテナンスとアフターサービス」
https://market.japanvikings.com/blog/2022/09/03/185453
製作者プロフィール
本山知輝 日本ヴァイキング協会代表
1979年生まれ。東京都出身。革の物づくりとの出会いは2000年に訪れたスウェーデンのヴァイキング村。そこで過ごしていたヴァイキングから手縫いを教えてもらったことがきっかけです。その後、レザークラフトの材料メーカーに19年間勤める中で、15冊以上の書籍監修や材料道具の開発や仕入れなど、革業界に広く携わってきました。
ヴァイキングのデザインを用いた、レザーカービング、シルバー&真鍮アクセサリー、Tシャツデザインも担当しています。これまでの経験をいかして、手しごとと素材の魅力、物づくりの楽しさを皆さまと共有できるように努めます。
本山めぐみ
1974年生まれ。福島県南会津出身。靴職人として経験を積んだ後、青年海外協力隊でエチオピアに赴任し、現地で革製造業の発展支援に携わりました。そのご縁あって、帰国後は某エシカル革ブランドのデザイン監修や、舞台衣装製作を経て今に至ります。
はじめてヴァイキング村のマーケットを訪れた時の衝撃は忘れられません。それぞれの分野の職人が、昔もあった素材で出土品を再現している。物づくりの原点がここにあると感じました。ヴァイキングの残したデザインが好きです。皆さまに触れていただけることを願っています。羊毛製品や編み物も担当しています。